
生理痛やPMS(月経前症候群)は「よくあること」として我慢されがちな症状です。国内では月経困難症に悩む方が推定800万人いるとされますが、実際に医療機関を受診している方はそのうち約1割にとどまるという調査結果もあります。強い痛みなど気になる症状がある場合は、まず婦人科を受診し原因を確認することが大切です。そのうえで、日常的に続けやすいセルフケアの選択肢として、鍼灸にも関心を持っていただければと考えています。
生理痛(月経困難症)・PMS(月経前症候群)とは
生理痛(月経困難症)は、月経に伴って起こる下腹部痛や腰痛、頭痛、吐き気などの症状の総称です。PMS(月経前症候群)は、月経が始まる3〜10日ほど前から現れる心身の不調で、月経が始まると弱まったりなくなったりするのが特徴です。生殖年齢の女性の70〜80%が月経前に何らかの不調を自覚しているとされ、多くの方に関わりのある症状といえます。
強い痛みが続く、経血量が急に増えた・減った、市販薬が効かないといった場合は、子宮内膜症など他の疾患が隠れている可能性があるため、自己判断せずまず婦人科を受診し、原因を確認してください。そのうえで、医師の治療方針に沿いながら、日々の体調管理の一環として鍼灸をご活用いただくことをおすすめします(鍼灸は疾患の診断・治療を目的とするものではありません)。
生理痛(月経困難症)の原因
月経困難症は大きく2つに分類されます。
- 機能性月経困難症:子宮内膜症などの原因疾患がなく起こるタイプ
- 器質性月経困難症:子宮内膜症など、原因となる疾患があるタイプ
子宮内膜症の患者さんの約9割に月経痛がみられるとされ、不妊症の女性の25〜50%程度に子宮内膜症の合併が報告されています。痛みが強い場合や長引く場合は、こうした疾患が背景にある可能性も踏まえ、婦人科での検査をおすすめします。
PMS(月経前症候群)について
PMSは、月経周期に伴うホルモンの変動が神経伝達物質に影響することなどが関わっていると考えられていますが、詳しい発症メカニズムは完全には解明されていません。日常生活に影響が出るほどのPMSは一部の方に見られ、学会報告では約5%程度とされています。より症状の重いPMDD(月経前不快気分障害)は約1%程度と報告されています。気分の落ち込みが強い、日常生活に支障が出るといった場合は、我慢せず婦人科でご相談ください。
東洋医学・鍼灸から見た生理痛・PMS
東洋医学の考え方
東洋医学では、生理痛やPMSは「気・血のめぐりの滞り」や「冷え」と関わりが深いと考えられています。特に下腹部や骨盤内の冷えが続くと、経血のめぐりが悪くなり、痛みや不調として現れやすくなるとされます。当院では、痛みのある部分だけでなく全身のめぐりやお身体の状態を確認しながら、施術内容を組み立てています。
セルフケアに使えるツボ
ご自宅でも取り入れやすいツボを2つご紹介します。三陰交(内くるぶしから指4本分上)は婦人科系の不調に関わりが深いとされるツボで、冷えを感じたときに指の腹で優しく押す、または温めるのがおすすめです。血海(膝のお皿の内側から指3本分上)も血のめぐりに関わるとされるツボです。いずれも強く押しすぎず、心地よいと感じる強さで行ってください。生理中で体調がすぐれない時や妊娠中の刺激は避け、心配な場合は担当鍼灸師にご相談ください。
鍼灸・インディバという選択肢
当院では、鍼灸に加えてインディバ(高周波温熱機器)を組み合わせたケアもご用意しています。インディバは体の深部を温めることができるとされる高周波温熱機器で、冷えが気になる方のめぐり・温めのサポートとして、選択肢のひとつとしてご案内しています。生理痛・PMSの体質づくりを目指す方の選択肢のひとつとして、鍼灸との組み合わせをご検討いただけます。体感には個人差があります。
当院の施術の流れ
初回はカウンセリングで生理周期・症状の出方・冷えの有無を丁寧にお伺いします。そのうえで、その日の体調に合わせて鍼灸とインディバを組み合わせた施術を行います。強い痛みがある時期は無理な刺激を避け、心地よく感じる強さに調整します。継続的なケアをご希望の場合は、月経周期に合わせた通院ペースをご提案します。
どのくらいの頻度で通えばいいか
体質改善を目指す場合、一定の継続期間が必要とされています(効果を保証するものではありません)。まずは月2〜4回程度のペースで数ヶ月継続し、体調の変化を見ながら間隔を調整していくのが一般的な目安です。効果の感じ方には個人差があり、生活習慣やストレス状況によっても変わってきます。
こんな方におすすめです
- 毎月の生理痛が重く、鎮痛薬に頼りがちな方
- PMSによる気分の落ち込みやイライラがつらい方
- 婦人科で「異常なし」と言われたが不調が続く方
- 冷えが強く、生理周期にも影響が出ていると感じる方
よくある質問
Q. 生理痛に鍼灸がなぜ良いといわれるのですか?
鍼灸は骨盤内の血流促進や自律神経のバランス調整に働きかけるとされ、婦人科領域の中でも比較的研究の多い分野のひとつです。ただし効果の感じ方には個人差があり、すべての方に同じ効果を保証するものではありません。
Q. PMSの原因は何ですか?
PMSはホルモンの変動が神経伝達物質に影響することなどが関わっていると考えられていますが、詳しい発症メカニズムは完全には解明されていません。症状が強い場合は婦人科でのご相談をおすすめします。
Q. 生理痛のケアはどのくらいの期間・頻度で通えばよいですか?
個人差はありますが、月2〜4回程度のペースで数ヶ月継続し、体調の変化を見ながら調整していくのが目安です。まずはカウンセリングでご相談ください。
Q. 生理痛がひどい場合、婦人科と鍼灸どちらに行けばいいですか?
強い痛みや経血量の急な変化がある場合は、子宮内膜症など他の疾患が隠れている可能性があるため、まず婦人科の受診をおすすめします。診断・治療は医師の指示に従っていただき、鍼灸は日常のコンディション管理をサポートするものとして、必要に応じて併用をご検討ください(鍼灸自体は疾患の治療を目的とするものではありません)。
Q. 三陰交はどう押せば良いですか?
内くるぶしから指4本分上にあるツボで、指の腹で心地よい強さで優しく押す、または温めるのがおすすめです。生理中で体調がすぐれない時や妊娠中は刺激を避け、心配な場合は専門家にご相談ください。
【参考情報源】
- 総務省統計局統計調査/厚生労働省研究班監修「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会
- 経済産業省ヘルスケア産業課「女性特有の健康課題による経済損失の試算」(令和6年2月)
- 月経困難症に対する鍼灸のネットワークメタアナリシス(120試験・9,571名等)
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